北緯73度 バレンツ海海戦 コマンドマガジン88号 


珍しいソロプレイ用のミニゲームです。
ネタがマイナーすぎて調べるまで詳細はよくわかりませんでした。
簡単に言うとソ連のムルマンスクを目指して援助物資を輸送するイギリス軍の船団(JW51B)を
わずかな護衛艦を操作して守りながら、ノルウエー沿岸のドイツ海軍の妨害を排除していかに
犠牲を出さず任務を達成できるかを試みるゲームです。
トランプを使用するという点で今までのゲームとかなり変わっているし、運の要素が非常に
強いゲームに思えます。
でも、史実がそうであったように成功率は結構高く勝つのは簡単かと思いますが、運が悪いと
ドイツの巡洋戦艦に何度も遭遇したり、艦隊戦時の位置取りが悪かったりなど不運が重なって
大きな損害を出すこともあるかもしれない。そうなるとPQ17船団のような悲劇的な結果になる。



攻略?
初期配置はトランプで決まりますが、ノルウエー沿岸の海域が一番ドイツ艦隊に遭遇しやすい危険海域で
離れるほど安全度が高まります。
予定では初期配置の場所が1ターン目として8ターン目までにF4のムルマンスクに到着する必要があります。
A1海域からスタートすると比較的安全な海域を通ってムルマンスクまでたどり着けます。
でも、それだと到着が1ターン遅れてしまいますが、遅れによるデメリットは少ないので気にしなくていいです。
全速航行で急ぐこともできますがこちらはデメリットが多く輸送船団のような大規模な艦隊だとかなりの脱落艦が
出てしまいます。小規模な艦隊ならやってもいいが。
A2、A3海域からスタートすると若干危険な海域を通ることになりますが何とかなりそうな気がします。
船団には輸送船14隻と駆逐艦6隻しかありませんが、別の海域に巡洋艦2隻(R支隊)がありますので早めに合流できれば
それなりの戦力になります。恐らくドイツの巡洋艦アドミラルヒッパーと駆逐艦3隻の艦隊としょっちゅう遭遇すると
思いますが、合流できていれば戦力は敵の2倍なので船団を守るどころか返り討ちにできます。
たまにリュッツオーとかティルピッツとかシャルンホルストとか遭遇するかもしれないが位置取りが悪くなければ
それほど損害を受けずに逃げ切れると思います。
問題はA4からのスタート。急げばかなり早くムルマンスクにたどり着けますが、超危険海域のC3、C4、D3、D4を通過
することになる。迂回するとなるとかなり遠回りとなってムルマンスク到着が遅れる。
まあ、これも運でA4スタート引く確率は低いのであまり考えなくてもいいかも。


リプレイ1回目
手持ちはAK12、AO2、DD6の輸送船14、駆逐艦6隻。
名付けてJW51B船団、これでムルマンスクを目指す。

1T(12月29日AM)
イベントフェイズ           なし
イギリス軍移動フェイズ エリアA1にJW51B船団登場、R支隊はそのままE3
ドイツ軍移動フェイズ   マップ上にドイツ艦隊なし
遭遇判定フェイズ        JW51B船団、遭遇せず R支隊、遭遇せず
戦闘フェイズ              なし

2T(12月29日PM)
イベントフェイズ           スペードQ 脱落 AK1隻脱落させる(残存艦AK11、AO2、DD6)
イギリス軍移動フェイズ JW51B船団A1→B1、R支隊E3→E2
ドイツ軍移動フェイズ    マップ上にドイツ艦隊なし
遭遇判定フェイズ        JW51B船団、遭遇せず R支隊、遭遇せず
戦闘フェイズ              なし

3T(12月30日AM)
イベントフェイズ           なし
イギリス軍移動フェイズ JW51B船団B1→C1、R支隊E2→E1
ドイツ軍移動フェイズ    マップ上にドイツ艦隊なし
遭遇判定フェイズ        JW51B船団、遭遇せず R支隊、遭遇せず
戦闘フェイズ              なし

4T(12月30日PM)
イベントフェイズ           なし
イギリス軍移動フェイズ JW51B船団C1→D1、R支隊E1→D1 合流
ドイツ軍移動フェイズ    マップ上にドイツ艦隊なし
遭遇判定フェイズ        JW51B船団+R支隊、遭遇せず
戦闘フェイズ               なし

5T(12月31日AM)
イベントフェイズ           ハートQ ソ連軍駆逐艦の出撃
イギリス軍移動フェイズ JW51B船団+R支隊D1→E1
ドイツ軍移動フェイズ    マップ上にドイツ艦隊なし
遭遇判定フェイズ        JW51B船団+R支隊、遭遇せず
戦闘フェイズ              なし

6T(12月31日PM)
ソ連軍駆逐艦F4に配置
イベントフェイズ            なし
イギリス軍移動フェイズ JW51B船団+R支隊E1→F1 ソ連軍駆逐艦F4→F3
ドイツ軍移動フェイズ    マップ上にドイツ艦隊なし
遭遇判定フェイズ        JW51B船団+R支隊、遭遇せず ソ連軍駆逐艦、遭遇せず
戦闘フェイズ               なし

7T(1943年1月1日AM)
イベントフェイズ なし
イギリス軍移動フェイズ JW51B船団+R支隊F1→F2 ソ連軍駆逐艦F3→F2 合流
ドイツ軍移動フェイズ     マップ上にドイツ艦隊なし
遭遇判定フェイズ        JW51B船団+R支隊+ソ連軍駆逐艦 ヒッパー、DD×3の敵と遭遇
戦闘フェイズ              F2海海戦
                         1.ドイツ艦隊司令官の能力を決める 慎重:DD以外はイギリス艦に隣接不可
                         2.戦闘ラウンド 5ラウンド
                         3.初期配置 イギリス軍 敵戦力はたいしたことないし余裕があるので
                                             真ん中に輸送船全部、両サイドに軍艦を均等に配置
                                       ドイツ軍  10の位置にヒッパー、DD×3配置
                         結果 DD×3沈没 ヒッパー、DD×3撃沈

8T(1943年1月1日PM)
イベントフェイズ            なし
イギリス軍移動フェイズ JW51B船団+R支隊+ソ連軍駆逐艦 F2→F3
ドイツ軍移動フェイズ     マップ上にドイツ艦隊なし
遭遇判定フェイズ         遭遇せず
戦闘フェイズ               なし

9T(延長1)
イベントフェイズ           なし
イギリス軍移動フェイズ JW51B船団+R支隊+ソ連軍駆逐艦 F3→F4
ドイツ軍移動フェイズ    マップ上にドイツ艦隊なし
遭遇判定フェイズ        遭遇せず
戦闘フェイズ              なし
ムルマンスク到着終了(残存艦AK11、AO2、CL2、DD3+ソ連駆逐2)

勝敗判定
スターリン的勝利判定  AOAK13、カード1+遅延1 1VP
(輸送船を1隻でも多くムルマンスクに到着させる)
チャーチル的勝利判定 損害P ドイツ軍12-イギリス軍7=5 5*2=10 カード3+遅延1 1VP 
(海戦で損害が少なく多くの敵艦を沈める、輸送船の損害は考慮しない)
シャーブルック的勝利判定 DDAOAK16 16/2=8 カード1+遅延1 1VP
(輸送船と駆逐艦を1隻でも多くムルマンスクに到着させる)
合計3VP 戦略的勝利
(2VP・・・作戦的勝利、1VP・・・辛勝、0VP・・・PQ17の悲劇再び!)

感想
初期配置がA1だったこともあり、終始安全度の高い海域を通ったのであまり敵艦隊に遭遇せず
不運なイベントもあまり発生しなかった
1度敵艦隊と遭遇したが、こちらはR支隊と合流した上にイベントで登場したソ連の駆逐艦2隻も加わって
いたのに対して、ドイツ艦隊は一番弱い巡洋艦アドミラルヒッパーと駆逐艦3隻だったので問題なかった。
しかも、チャーチル的勝利を得るには若干敵艦隊を叩く必要があるのでむしろ丁度良かった。
A1スタートを引けばほぼ勝ち確でしょう。


リプレイ2回目
たまたま運が良かっただけかもしれないのでもう一度やってみる

1T(12月29日AM)
イベントフェイズ           なし
イギリス軍移動フェイズ エリアA3にJW51B船団登場、R支隊E3→D2全速航行(脱落なし)、合流を急ぐ
                   うーむ、ノルウエー沿岸を突っ切って危険海域を最短距離(7T)でいくか
                   日数(9T)かけて迂回するか判断に迷う(結局迂回した
ドイツ軍移動フェイズ    マップ上にドイツ艦隊なし
遭遇判定フェイズ        JW51B船団、遭遇せず R支隊、ヒッパー艦隊と遭遇
戦闘フェイズ              D2海海戦
                         1.ドイツ艦隊司令官の能力を決める 勇敢:戦闘ラウンド+1
                         2.戦闘ラウンド 3ラウンド+(勇敢)1ラウンド
                         3.初期配置 イギリス軍   軍艦のみなのでとりあえず真ん中に配置
                                       ドイツ軍  11の位置にヒッパー、DD×3配置
                         結果 ヒッパーに1損害与えたのみ
                            (駆逐艦の射程に入らないように移動、巡洋艦のみの遠距離砲撃戦のため損害少ない

2T(12月29日PM)
イベントフェイズ      なし
イギリス軍移動フェイズ JW51B船団A3→B3、R支隊D2→C2
ドイツ軍移動フェイズ   ヒッパー艦隊D2→C2
遭遇判定フェイズ     JW51B船団、遭遇したがヒッパー艦隊すでに出現中でなし R支隊、遭遇せず
戦闘フェイズ        C2海海戦(R支隊、ヒッパー艦隊同一海域のため
                 1.ドイツ艦隊司令官の能力を決める 勇敢:戦闘ラウンド+1
                 2.戦闘ラウンド 4ラウンド+(勇敢)1ラウンド
                 3.初期配置 イギリス軍 軍艦のみなのでとりあえず真ん中に配置
                           ドイツ軍  4の位置にヒッパー、DD×3配置
                 結果 ジャマイカ損傷1、ヒッパー損傷1
                    (前回と同じ巡洋艦のみの遠距離砲撃戦 

3T(12月30日AM)
イベントフェイズ      ダイヤ10 天候悪化
イギリス軍移動フェイズ  JW51B船団B3→B2、R支隊C2→B2 合流
ドイツ軍移動フェイズ   ヒッパー艦隊、敵影消失
遭遇判定フェイズ         JW51B船団、遭遇せず R支隊、遭遇せず
戦闘フェイズ               なし

4T(12月30日PM)
イベントフェイズ           クラブK Uボートの襲撃
イギリス軍移動フェイズ JW51B船団+R支隊B2→C2 合流
ドイツ軍移動フェイズ    マップ上にドイツ艦隊なし
遭遇判定フェイズ        JW51B船団+R支隊、遭遇せず
戦闘フェイズ              Uボートの襲撃 撃退 損害なし

5T(12月31日AM)
イベントフェイズ            スペードJ 誤情報 特に影響なし
イギリス軍移動フェイズ JW51B船団+R支隊C2→D2
ドイツ軍移動フェイズ    マップ上にドイツ艦隊なし
遭遇判定フェイズ        JW51B船団+R支隊、ヒッパー艦隊に遭遇
戦闘フェイズ              D2海海戦
                         1.ドイツ艦隊司令官の能力を決める 勇敢:戦闘ラウンド+1
                         2.戦闘ラウンド 5ラウンド+(勇敢)1ラウンド−(悪天候)1ラウンド
                         3.初期配置 イギリス軍 真ん中に輸送船全部、両サイドに軍艦を均等に配置
                                       ドイツ軍  10の位置にヒッパー、DD×3配置
                           結果 DD1沈没、DD1損傷1 ヒッパー、DD1撃沈、DD2隻損傷1
                    (R支隊と合流して戦力が整ったので積極的に攻撃
  
6T(12月31日PM)
イベントフェイズ            クラブ10 天候回復
イギリス軍移動フェイズ JW51B船団+R支隊D2→E2 
ドイツ軍移動フェイズ    ヒッパー残存艦隊、敵影消失
遭遇判定フェイズ        JW51B船団+R支隊、リュッツオー艦隊遭遇
戦闘フェイズ              E2海海戦
                         1.ドイツ艦隊司令官の能力を決める 臆病:戦闘ラウンド-1、DD以外隣接不可
                         2.戦闘ラウンド 2ラウンド−(臆病)1ラウンド
                         3.初期配置 イギリス軍 真ん中に輸送船全部、両サイドに軍艦を均等に配置
                                       ドイツ軍  1の位置にリュッツオー、DD×2配置
                         結果 AK1沈没
                 (ポケット戦艦の長射程攻撃で輸送船1隻沈没、戦闘ラウンドが短くて逃げ切る

7T(1943年1月1日AM)
イベントフェイズ            ハートA 連合軍潜水艦の攻撃
イギリス軍移動フェイズ JW51B船団+R支隊E2→F2 
ドイツ軍移動フェイズ    リュッツオー艦隊E2→D2
遭遇判定フェイズ        遭遇せず
戦闘フェイズ              連合軍潜水艦の攻撃 効果なし
11.0ルールによりD4に高海艦隊出現させる

8T(1943年1月1日PM)
イベントフェイズ           なし
イギリス軍移動フェイズ JW51B船団+R支隊F2→F3
ドイツ軍移動フェイズ    高海艦隊、敵影消失 リュッツオー艦隊D2→C2
遭遇判定フェイズ        遭遇せず
戦闘フェイズ               なし

9T(延長1)
イベントフェイズ            なし
イギリス軍移動フェイズ JW51B船団+R支隊+ソ連軍駆逐艦 F3→F4
ドイツ軍移動フェイズ     リュッツオー艦隊C2→B2
遭遇判定フェイズ         遭遇せず
戦闘フェイズ なし
ムルマンスク到着終了(残存艦AK11、AO2、CL2、DD5)

勝敗判定
スターリン的勝利判定 AOAK13、カード1+遅延1 1VP
チャーチル的勝利判定 損害P ドイツ軍10-イギリス軍5=5 5*2=10 VPなし 
シャーブルック的勝利判定 DDAOAK16 16/2=8 カード1+遅延1 1VP
作戦的勝利

感想
一番引く確率が高いA3からのスタート、若干危険度の高い海域を通ったこともあり
ポケット戦艦のリュッツオーと遭遇したが1度出会ったのみでそれほど損害を受けずに助かった。
それなりに戦果あげたがカードの結果が悪くチャーチル的勝利は得られなかった
強力なアンソン隊出撃イベントはジョーカーのみなので出現率かなり低い
ヒッパー艦隊は出現率が高くあまり強くないので戦果を上げるチャンス
R支隊と合流できれば戦力はヒッパー艦隊の2倍となる
海戦になっても最初の位置取りが悪くなければ輸送船はあまり損害受けない


結論
このゲームで負けた人はよっぽど運が悪いのかもしれない(むしろ負けるほうが難しい)
こんな地味な戦いをなぜゲーム化したのか不思議


バレンツ海海戦(wikiで調べてみた

バレンツ海海戦(バレンツかいかいせん、英語:Battle of the Barents Sea)は、第二次世界大戦中の1942年12月31日に、ノルウェーの北岬沖バレンツ海で生起した、
ドイツ海軍とイギリス海軍との海戦。イギリスからソビエト連邦のコラ湾へ向かっていたJW51B船団の航行をドイツ海軍が妨害しようと出撃した艦隊が船団護衛の任に
就いていた艦隊と戦闘になった。ドイツ海軍の作戦名はレーゲンボーゲン作戦(Unternehmen Regenbogen、意味は「虹」)。

海戦前
イギリスJW51B船団(ロバート・シャーブルック大佐指揮)は商船14隻、駆逐艦「アカテス」、「オーウェル」、「オリービ」、「オンスロウ」、「オブディレイト」、「オビーディアント」、
コルベット「ロードデンドラン」、「ハイデラバード」、掃海艇「ブランブル」、武装トロール船「ヴィルザマ」、「オーシャン・ジェム」という編成だった。

加えて、援護部隊としてロバート・バーネット少将麾下の軽巡洋艦「シェフィールド」、「ジャマイカ」がバレンツ海にいた。

ドイツ艦隊は重巡洋艦「アドミラル・ヒッパー」、装甲艦「リュッツォウ」、駆逐艦「フリードリヒ・エックホルト」、「リヒャルト・バイツェン」、「テオドア・リーデル」、「Z29」、「Z30」、「Z31」で
ノルウェー北部のアルテンフィヨルドにいた。指揮官はオスカー・クメッツ (Oskar Kummetz) 中将であった。

JW51B船団は12月22日ロッホ・ユーを出航した。28日、吹雪のため商船5隻と「オリービ」、「ヴィルザマ」が行方不明となった。
その後商船3隻は船団と合流したが、残りは船団とは別にコラ湾に向かった。

30日午前、独潜水艦「U354」が船団を発見した。この報告を受けたクメッツ中将は艦隊を率いて出撃した。しかし、ドイツ艦隊はヒトラーから危険を冒すことを禁じられていた。
クメッツ中将は艦隊をアドミラル・ヒッパー、駆逐艦3隻とリュッツォウ、駆逐艦3隻の2つに分け挟撃を試みた。

海戦経過
31日8時20分、「オブディレイト」がドイツ駆逐艦を発見、続いて「オンスロウ」が「アドミラル・ヒッパー」を発見した。
イギリス駆逐艦は煙幕を張るとともに「アドミラル・ヒッパー」の前面に展開、また船団各船は出撃前の打ち合わせどおり一斉に発煙フロートを投下した。

10時00分、「オンスロウ」に「アドミラル・ヒッパー」からの8インチ弾が命中し艦橋が損傷、シャーブルック大佐は重傷を負ったが指揮を執り続けた。
だが、「オンスロウ」はさらに数発の命中弾を受け、シャーブルック大佐は指揮権を僚艦に譲った。残る駆逐艦は偽装雷撃などあらゆる手段を尽くして、「アドミラル・ヒッパー」が
船団に近づくのを阻止したが、「オビーディアント」が損傷を受けるなど、綱渡りの状況が続いた。
この間、「リュッツォウ」と駆逐艦3隻は商船を捕捉したようだが、商船は煙幕と吹雪に隠れ、「(誤認の)危険を冒すな」という命令のため追跡は行わなかった。

一方、船団付近では「アカテス」が直援行動に従事していたが、11時00分、吹雪が弱まった折に「アドミラル・ヒッパー」の攻撃を受け被弾、大破した。
だが、「アカテス」は被弾しながらも煙幕を展開し続け、2時間後に沈没するまでその任務を全うした。

11時45分、「シェフィールド」と「ジャマイカ」が戦場に到着し、攻撃を開始した。「アドミラル・ヒッパー」に命中弾があり、クメッツ中将は全艦に退避を命じた。
「フリードリヒ・エックホルト」と「リヒャルト・バイツェン」は2隻の英巡洋艦を「アドミラル・ヒッパー」および「リュッツォウ」と誤認して接近し、「フリードリヒ・エックホルト」は「シェフィールド」から
多数の6インチ砲弾を浴びて撃沈された。「リヒャルト・バイツェン」は被害僅少で、「ジャマイカ」の砲撃から辛くも脱した。

その後、「アドミラル・ヒッパー」と「リュッツォウ」は、英巡洋艦2隻を挟み撃ちするチャンスを得たものの、逆に「シェフィールド」と「ジャマイカ」は果断にも一斉砲撃を加えて撃退。
これを潮に、ドイツ側は母港へと撤収した。

なお、船団からはぐれた輸送船を捜索するべく本隊から分離していた「ブランブル」は、ドイツ艦隊の攻撃により沈没したと考えられている。

結果
沈没 イギリス…駆逐艦「アカテス」、掃海艇「ブランブル」
ドイツ…駆逐艦「フリードリヒ・エックホルト」

大破 イギリス…駆逐艦「オンスロウ」
ドイツ…なし

損傷 イギリス…駆逐艦「オーウェル」、「オビーディアント」、「オブデュレイト」、輸送船1隻
ドイツ…巡洋艦「アドミラル・ヒッパー」


ドイツ海軍は1隻も商船を撃沈できなかったばかりかほぼ無傷で逃してしまい、船団への攻撃は失敗に終わった。

大戦果を徹夜で待っていたヒトラーは、新年早々のこの無様な敗北に激怒し、レーダー元帥を罷免し、潜水艦隊司令官デーニッツ大将を後継者に任命するとともに、
全ての大型水上艦の解体命令を出した。
この命令はデーニッツから再考を促されたこともあり実行されなかった(すでに大型艦を本土回航することさえ困難になっていたためもある)が、ドイツ海軍の士気は低下した。

一方のイギリス海軍はこの海戦の戦訓により、援ソ船団の護衛体制をさらに強化するとともに、船団をえさにドイツ大型水上艦を釣り上げ撃滅する着想を得た。
その着想を実行に移したのが、翌1943年末に生じた北岬沖海戦や、戦艦ティルピッツに対する一連の作戦である。




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