張鼓峰事件1938  コマンドマガジン82号

張鼓峰事件のゲームはめずらしいのでいつか買おうと思いつつそのままになっていましたが、
なんとか売り切れる前に購入する事ができました。


張鼓峰事件とは
張鼓峰事件は1938年(昭和13年)の7月29日から8月11日にかけて、満州国東南端の張鼓峰で発生したソ連との国境紛争。
短い期間ですが、かなり激しい戦闘が行われ両軍に多くの死傷者が発生しています。
場所は満州国になりますが、朝鮮国境に近いこともあり朝鮮に駐屯していた第19師団が主に戦闘に参加しています。
事の発端は、突如ソ連軍が張鼓峰一帯に越境してきて陣地構築を始めたので第19師団が出動してこれを撃退したところソ連側
は大部隊で反撃してきたので大規模な国境紛争に発展した。
ソ連側は多くの機械化部隊を使って攻め立て、飛行機まで投入して爆撃してきたにも関わらず、日本側は自ら主張する国境線を
越えず1台の戦車も1機の飛行機も使わずひたすら陣地にこもって国境線を死守していた。
やがて外交交渉によって日本側は国境線を保持した形で停戦する事になったので一応日本の勝利という事になるかと思います。
が、しかし、停戦によって日本軍が退いたところ再びソ連軍が侵入してきてせっかく守りきった張鼓峰を再びソ連軍に占拠されてしまう。
日本側にソ連軍と本気で戦う意志は無かったのでこのことは当事者の胸の内にしまわれ、国民に広く知らされることはなかった。
後にソ連軍がノモンハンで戦闘を仕掛けてきたのは考えてみると、張鼓峰では地形の制約があって敵を圧倒する兵力や戦車があっても
生かせなかったので、広大な平原のノモンハンで戦って今度こそ日本軍を叩きのめしてやろうという魂胆があったのかもしれない。


このゲームについて
特異な戦例としてゲーム化するのは難しそうですが、なかなかよくできていると思いました。
張鼓峰、沙草峰、将軍峰、52高地は重要拠点として占領している側に毎ターンVPが入ります。
なので日本軍は序盤の内になるべく長く保持してVPを稼いでおかないと後半苦しくなってきます。
マップ上には国境線が描かれていて、日本軍のユニットがここを越えるとVPが減ってしまいます。(緑の破線、線上なら超えた事にならない)
各ユニットにはモラルというものが設定されていてこれが低いとチットによっては行動できません。
日本側はできることが少ないのでいいが、ソ連側は一部の部隊が行動できなくなった場合、特に総攻撃をかけないと陣地にこもる日本軍
に打撃を与えられそうにない時などは攻撃を諦めなければなりません。
はじめは少数のソ連軍が張鼓峰と沙草峰を占領した状態から始まりますが、日本軍によってすぐに撃退できます。
ここからが本当の戦いで徐々にソ連軍の大部隊が押し寄せてくるので急いで守りを固める必要があります。
幸い日本軍は3箇所陣地を構築する事ができるのでこれでかなりの攻撃を防ぐ事ができます。
特に52高地方面に陣地を構築してある程度の部隊を配置すれば敵に隣接される箇所も少なくソ連軍が最大戦力で攻めてきても
持ちこたえる事ができます。でも、確実に守りきれるというわけでもなく砲爆撃で消耗させられたり混乱させられると突破される恐れが
有るので、わずかな増援をやりくりして入れ替えたりする必要があります。
それに、日本側は豆満江に工兵の船を浮かべて補給線を通さなければいけないのでこれが攻撃を受ければ補給切れになってしまいます。
沙草峰方面は若干広くなっており突破されるのは時間の問題だが、VPを得る為にもなるべく長く保持しておきたいところ。
ともかくこの方面は守りきるのはほとんど無理なので徐々に後退させられることになる。
8ターン目から外交交渉が始まり、うまくいけば停戦となりますがうまくいかなければ最大11ターンまで戦いが続く事になります。


1回目リプレイ記録

5ターン目開始時

4ターン目まで終了して5ターン目開始時の状況です。
52高地では速攻で陣地を作って2個大隊と山砲連隊1個を配置して鉄壁の守りでソ連軍は最大戦力を集めるも突破できず。
4ターン目で一度20Pの砲爆撃を食らって消耗-1と混乱になったが、日本軍先攻だったのでうまく入れ替えたりして守りきった。
沙草峰方面は、チットに恵まれずモラル1の守備隊が動かせなくて防衛線が引けず沙草峰西方をあっさり突破されて沙草峰
が孤立、将軍峰の手前まで攻め込まれて将軍峰で陣地も作れずちょっとピンチとなる。

ここまでのVP -12(ゲーム終了時マイナスなら日本軍、プラスならソ連軍の勝ち)


ゲーム終了時(8ターン目終了時)

運が良くて8ターン目の外交交渉が成立してゲーム終了となりました。
6ターン目で将軍峰が陣地が無かった事もありあっさり占領されてしまいました。
沙草峰は防衛部隊が意外と粘ってくれましたが、7ターン目に占領される。
張鼓峰は陣地構築が間に合って増援が到着した事もあり何とか保持、52高地も守りきりました。
しかし、補給線が遮断されてしまったのでこのまま戦いが続くとかなり大変な状況になるところでしたがうまく
最初の外交交渉が成立して8ターン目で終了しました。

勝敗判定
ここまでのVPが-14
除去されたユニットは、日本側 大隊1個と守備隊1個    ソ連側 守備隊2個
で、除去された戦力数と減少面戦力になった戦力数をVPに換算して修正を加えるとVP-9となり
日本軍勝利!!

最初の外交交渉が成立して早く終わったので意外と余裕のある勝利でした。
これならあと1ターンぐらいなら長引いても何とかなったかもしれないが、それ以上続くとさすがに危ない。
ゲームバランスはなかなか良好かもしれない。(ってまだ1回しかやってないけど)
マイナーな戦いだし日本軍はひたすら敵の猛攻を耐えるだけなので面白みの無い感じもしますが、よくぞゲーム化してくれた
という思いと、日本軍をこよなく愛する自分としてはやらずにはいられないゲームでした。
でも、実際それなりに面白かったし、この変わった戦いを史実のようにうまく表現できていて良作だと思います。

不満点としては、確かに一方的な戦いだったけど、ソ連側の隠されていた情報が明らかになってみると、
日本側の損害は、戦死が525人、戦傷が912人に対して、ソ連側の損害は、戦死・行方不明が792人、戦傷・戦病が3279人
と日本軍以上に損害を出しているので、もう少し日本軍が敢闘できるようにして欲しかったかなと思います。



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