常徳殲滅作戦
コマンドマガジン111号
かなりマイナーな戦いのゲームですが、日本軍が登場するとあってはやらない訳にはいきません。
他にもやらないといけないゲームが溜ってますが、比較的簡単そうだったしVASSALのモジュールが公開されていたので
早速プレーしてみました。
歴史的背景を調べてみると、大陸打通作戦の一環かと思っていましたがそれ以前の1943年11月から12月までの間に戦われた作戦のようです。
作戦の動機が不純というか中国戦線で戦っている第11軍の兵力が他の戦線に転用の為引き抜かれることになったので
戦力が充実しているうちに作戦を行って敵に打撃を与えておこうということのようです。
もちろんこんな作戦では通りませんので名目上は中国戦線の維持とビルマ戦線への中国軍転用を牽制することを作戦目的とした。
日本軍の秘匿名は「よ号作戦」。
中国軍の編成
歴史群像第122号の「第二次上海事変」の項目に中国軍の詳しい編成や戦力が載っておりました。
タイトルのとおり支那事変が始まった頃のデータなので状況はかなり変わっているかもしれないが参考までに。
中国軍は兵力200万、182個師(師団)を有していた。蒋介石総統をトップとして参謀本部があり、その下に戦区以下の部隊が存在した。
編成の単位は、最上位に軍管区に相当する戦区が全国で8個存在する。戦区の下には軍集団にあたる集団軍と路軍が存在していた。
集団軍の下の編成単位は上から「軍→師→旅→団→営→連→排」という構成になっていた。
日本の軍隊にあてはめると、「師」は師団、「旅」は旅団、「団」は連隊、「営」は大隊、「連」は中隊、「排」小隊に相当する。
中国軍は近代化を推し進めるなか、「調整師」とよばれる新型の師団を編成中であったが、その数は10数個と少なく、その1個師団あたりの
戦力も、同時期の日本軍(4単位師団)のものと比べて1万強と約半分(日本軍の混成旅団よりやや大きい程度)であった。
兵器の数では小銃が1/3、重・軽機関銃は半分、火砲は1/4とこちらも日本軍師団に大きく劣っていた。
それ以外での旧来の師では兵数は1万を切ることも多く、地方軍の師に至っては更に兵数が少ないこともあった。
単純に考えると戦力的には、日本の1個師団が中国軍の2個師に相当すると思われるが実力的にはもっと差があった。
日中両軍の師団編成
日本軍
師団
人員:約12000(平時)〜20000名(戦時)
軽機関銃:約450挺
重機関銃:96挺
軽砲(歩兵砲):56門
野(山)砲:36門
※歩兵大隊は4個中隊、1個歩兵砲小隊で編成。
師団司令部−−歩兵旅団−−歩兵連隊−−歩兵大隊3個
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| 歩兵連隊−−歩兵大隊3個
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歩兵旅団−−歩兵連隊−−歩兵大隊3個
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| 歩兵連隊−−歩兵大隊3個
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砲兵連隊
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騎兵連隊
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工兵連隊
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倡n重兵連隊
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師団通信隊
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その他諸隊
中国軍
一般師
調整師
人員:10000〜15000名
人員:10923名
軽機関銃:288挺
軽機関銃:278挺
重機関銃:78挺 重機関銃:63挺
軽砲(迫撃砲):12門
軽砲(迫撃砲):36門
野砲:16門 野砲:16門
※歩兵営は3個連、1個機関銃連、1個迫撃砲連で編成。
※歩兵営は3個連、1個重火器連で編成。
司令部−−歩兵旅(旅団)−−歩兵団(連隊)−−歩兵営(大隊)3個
司令部−−歩兵旅(旅団)−−歩兵営(大隊)3個
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歩兵団(連隊)−−歩兵営(大隊)3個 |
砲兵連(中隊)
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歩兵旅(旅団)−−歩兵団(連隊)−−歩兵営(大隊)3個 |
軽砲兵連(中隊)
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歩兵団(連隊)−−歩兵営(大隊)3個
歩兵旅(旅団)−−歩兵営(大隊)3個
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特務団(連隊)−−小銃営(大隊) |
砲兵連(中隊)
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砲兵営(大隊) |
軽砲兵連(中隊)
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重迫撃砲営(大隊) 砲兵営(大隊)
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騎兵営(大隊)
対戦車連(中隊)
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工兵営(大隊)
防空連(中隊)
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機関銃連(中隊) 工兵連(中隊)
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重輸送連(中隊)
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その他諸隊
帝国陸軍は強い
カウンターを見ると日本軍は大隊単位、中国軍は師団単位となっています。
何と日本軍は1個大隊で中国軍の1個師団と同等かそれ以上の実力があり実質10倍ぐらいの敵に対抗していたことになります。
流石です。だがそれはいいとして、この作戦は殲滅作戦なので日本軍の勝利目標が高く設定されているのでかなりの戦果を
上げないと勝利したことにはなりません。厳しいです。
日本軍が勝つには中国軍よりも多くのVPを獲得しなければなりません。VPを得るには拠点の占領と中国軍司令部の撃破。
VPが得られる拠点は宣都2VP、仁和坪1VP、煖水街1VP、濃縣2VP、石門1VP、臨濃2VP、常徳4VP、漢壽2VP
桃源3VP、滋利2VPで全部占領するとVP20。
中国軍の司令部ユニットは全部で16個、全部撃破するとVP16。
中国軍はゲーム開始時に20VPを保有していて、日本軍のユニットが1個撃破されるたびにVPが加算されていく。
ということで、できるだけ損害を出さずに拠点を占領しつつ敵司令部を撃破することが勝利する為の鍵です。
実際やってみると、
日本軍は本当に強いのですが、敵はすぐ逃げるし(司令部が倒せない)妨害してくる(拠点が占領できない)ので思うようにいきません。
時間さえあればいくらでも敵を倒せそうですが、限られた時間で戦果を上げようと思うと難しいです。
中国軍は計画的撤退で移動妨害だけしてあまり戦わずに逃げつつ常徳周辺を増援で固めれば勝てる?
日本軍は1ターンに3回行動できるけど移動か戦闘かどちらかしかできない。
町や都市は中国軍が増援で出現して補給線が脅かされるので塞いでおかなければなりません。
都市にいる部隊の戦闘力は2倍になるので結構厄介。まだ戦力が明らかになっていないユニットでたまたま弱ければいいが、
戦力が明らかになって強いと判ったユニットで固められると倒すのが困難。
戦闘比を4:1や5:1と高くしてもダイスで1出すとEX(相互損害)で部隊がやられるのでVPを取られてしまう。
中国軍は戦闘力が戦ってみるまでわからず数値もバラバラ。戦闘力が0〜7まである。
中国軍に戦闘力7の最強ユニットが1個ありますが、57師とありますので常徳を最後まで守備をして奮戦していた部隊のようです。
1回目の結果
中国軍は司令部温存政策を採っていたので1個しか撃破できなかったがルールをよく見てみると、
計画的撤退をした部隊は増援で絶対に登場させなければいけないのにわざと登場を遅らせてしまっていた。
漢壽に守備隊を配置していなかったので日本軍の湖沼移動であっさり占領したが増援の集中攻撃にあって奪還された。
最終ターン怒涛の2回攻撃で常徳攻撃までいったが占領できなかった。
占領地
宣都2VP、仁和坪1VP、濃縣2VP、煖水街1VP、石門1VP、臨濃2VP
除去ユニット 日本軍2個、中国軍司令部1個
VP 日本10
中国22
中国軍勝利
2回目の経過
ということで日本軍が勝てなかったので2回目にチャレンジ。
ゲーム開始時
中国軍は日本軍の部隊と隣接しないように1マス空けて配置しておき、隣接されたら速攻で計画的撤退をする。
宣都と松滋は有利に戦える都市なので司令部なしの部隊を各2部隊残して足止めに使う。
1ターン目終了時
松滋でまさかの戦闘力7の中国軍ユニットが出現、もう1個も戦闘力4となかなか強い上に
都市なので戦闘力2倍で倒せずはじき返された。
日本軍は順調に進撃中だが、宣都と松滋に戦力を割きすぎたので後の戦いで戦列に加われずに終わってしまった。
中国軍は王家廠、濃縣に防衛ラインを引き魚口周辺を固めておく。
2ターン目終了時
松滋は敵戦力の2倍集めるのも困難なので、幸い1マスで動きを封じることができるため最低限の部隊だけを残して
スルーしていたが、敵が攻撃してきてAR(攻撃側退却)で自滅してくれたので助かる。
宣都攻撃で戦闘比4:1だったのに1が出てまさかの相互損害で1ユニットを失い占領も出来ず。
敵の防衛ラインを難なく突破するが敗残兵が各所に残ってしまった。
1回目の時は道路を使うと移動ポイント0.5で移動できることを忘れていたが今回は道路を有効に使って一部の部隊は
常徳目前まで迫る。山地の仁和坪は戦闘力は弱いが移動力が8あるユニットを使って迅速に占領させる。
中国軍は1ターン目で計画的撤退をした部隊を増援に出して常徳周辺を固める。
占領地
仁和坪1VP、煖水街1VP、濃県2VP、石門1VP、臨濃2VP
除去ユニット 日本軍1個、中国軍司令部2個
VP 日本9
中国21
3ターン目終了時
宣都と魚口占領。魚口攻撃でEXが出て日本軍1ユニット壊滅する。
後続の3-4ユニットで敗残兵狩りと占領地の交代をさせつつ強力なユニットを前線に送り込むが
常徳周辺をすっかり固められてしまう。
占領地
仁和坪1VP、煖水街1VP、濃縣2VP、石門1VP、臨濃2VP、宣都2VP
除去ユニット 日本軍2個、中国軍司令部3個
VP
日本12 中国22
4ターン目終了時
戦力がだいぶ前線に集まってきたので敵を攻撃して少しずつ常徳に迫るが、常徳には戦力が明らかになった
強力なユニット(戦闘力6、4、司令部)が配置されているのでさらに戦力を集中、魚口から洞庭湖を渡ってきた
部隊と合わせて半包囲態勢。
滋利も一応包囲はなったが2:1の戦力を集めるのが精一杯で落せるかどうかは不安がある。
占領地
仁和坪1VP、煖水街1VP、濃縣2VP、石門1VP、臨濃2VP、宣都2VP
除去ユニット 日本軍2個、中国軍司令部3個
VP
日本12 中国22
5ターン目終了時
日本軍が勝つにはあとVPを11も稼がなくてはならない。滋利2VPと常徳4VPを落してもあと5VP足りない。
ほぼ絶望だができる限り戦ってみる。常徳は戦力をかなり集めたので難なく占領するが包囲できていなかったので
司令部を含む敵部隊に逃げられる。滋利は1回目の攻撃で占領できなかったが2回目の攻撃で占領、司令部も1個撃滅。
最後の攻撃で戦闘比を大きくして司令部の一発除去を狙って攻撃するが相互損害がでてしまい、中国軍の反撃で包囲されて
3個も除去させられてしまった。
占領地
仁和坪1VP、煖水街1VP、濃縣2VP、石門1VP、臨濃2VP、宣都2VP、滋利2VP、常徳4VP
除去ユニット
日本軍6個、中国軍司令部4個(司令部以外23個)
VP 日本19 中国26
中国軍勝利
ということで日本軍が負けてしまいました。
日本軍の損害を無かったことにするとしても20以下しかVPを稼げなかったので全然ダメダメでした。
本当に勝とうと思ったら、桃源3VPを占領するだけの勢いと逃げ回る中国軍司令部を効果的に倒さないといけないので
勝利条件はかなり厳しいです。
普通の戦いだったら司令部以外の敵はかなり倒しているし、目標の常徳も占領しているので大勝利といったところだが
これでも負けとなると日本軍はとてつもなく意識が高く更なる高みを目指している孤高の軍隊だったと思わざるを得ない
というか、中国軍が相手なら勝って当然、殲滅的大勝利じゃないと勝った事にならないのかもしれない。
と思っていたらVPの計算方法が違っていたかもしれない。
ゲーム開始時に中国軍が20VP持っているというのは目標地点を全部占領している状態から始まるので20VP持っているということなら
日本軍が目標地点を占領するたびに中国軍のVPが減ることになる。ネット上で他の人のリプレイ記事を見ていたらこのように計算していた。
ルールブックにはこの辺の記載がないのでよくわからないが(自分の読解力が無いだけ?)。今度暇があったら問い合わせてみる予定。
とりあえず上記のように計算し直してみると、
1回目のプレイでは、
日本軍占領地
宣都2VP、仁和坪1VP、濃縣2VP、煖水街1VP、石門1VP、臨濃2VP
中国軍占領地
常徳4VP、漢壽2VP、桃源3VP、滋利2VP
除去ユニット 日本軍2個、中国軍司令部1個
VP 日本10
中国13
中国軍勝利
差は縮まったがどちらにしろ負け。
2回目のプレイでは、
日本軍占領地
宣都2VP、仁和坪1VP、濃縣2VP、煖水街1VP、石門1VP、臨濃2VP、常徳4VP、滋利2VP
中国軍占領地
漢壽2VP、桃源3VP
除去ユニット 日本軍6個、中国軍司令部4個(司令部以外23個)
VP 日本19 中国11
日本軍勝利
勝ってしまった。かなり常識的な感じになった。これなら日本軍も普通の軍隊だったということか。
となるとやはり常徳を取るか取らないかが勝敗の鍵を握ることになる。
日本軍の勝利条件が特別厳しいということはなく、むしろ中国軍の方が勝つのが難しいかもしれない。
追記
問い合わせた結果、やっぱり目標地点を占領するたびに中国軍のVPが減ることになるみたいです。
今更だけど、このページを見てる人は注意してください。
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