ノモンハン1939  コマンドマガジン108号

ノモンハン事件は個人的に興味のあるテーマで書籍などたくさん買って読んでいます。
その中で特に感銘を受けたのが「ノモンハン事件の真相と戦果―ソ連軍撃破の記録」という本でした。
戦果誤認や誇張などがあるにしても当時戦っていた兵隊たちにとってみれば苦しい戦いだったけど
それ以上に敵部隊を打ち倒していて一方的に負けたとは全然思っていなかったことがわかります。
よくソ連軍の機械化部隊に日本陸軍は大敗したのに何も学ばなかったとか言われますが、当時の状況を
考えると、軍事予算の大部分を海軍に持っていかれた貧乏陸軍にとってみれば戦車を大量に作るなんて
贅沢は許されないし、日中戦争のさなかで兵力がいくらあっても足りないのに機械化なんてしている余裕もなく
ましてや中国軍相手なら既存の装備で十分間に合ってしまっていた。
その後、大東亜戦争になってからは航空優先ということで戦車を作るより航空機を増産せよということになって
ついに日本軍の大機甲部隊は夢と消えてしまった。
(最近読んだ歴史群像の記事で日本軍の壮大な戦車整備計画が存在したことを知った)

ともかくノモンハン事件で日本軍が勝つチャンスがあるとすれば、初戦で一気に大兵力を投入して敵をたたき
国境線に強固な陣地を築く。海軍の航空機も投入して制空権を絶対的に確保する。あとは外交交渉。
だが、実際は不拡大方針の中央からの制約で思うように動けず、ソ連軍の兵力が見込み以上に大きく兵力の逐次
投入となってしまった。



概観
このゲームでは、1ターン目が7/2からになっており、丁度第二次ノモンハン事件が始まった辺りから始まります。
日本が主張する国境線のハルハ河を越えて東岸に侵入してきた敵を小林支隊がハルハ河西岸に渡って敵の退路を遮断、
戦車を有する安岡支隊で正面から敵を圧迫して殲滅する作戦でした。史実ではどちらの攻撃もうまくいきませんでした。
でも、このゲームでは小林支隊の兵力がかなり大きく距離的にもそれほど遠くないコマツ台地に到達できれば勝利となる
ので狙ってみる価値は十分にあります。戦いが長引けばソ連軍の増援が多いし輸送ポイントも増えてきて苦労しそうです。

オーバーランについて
オーバーランという独特の攻撃を行うことができます。特殊なのでおさらい。
・移動フェイズ中に攻撃できる
・日本軍の歩兵、戦車ユニット、ソ連軍(モンゴル軍を除く)の機械化部隊が行うことができる
・日本軍は司令部、ソ連軍はSP無しで攻撃できる
・連絡線が引けなくても攻撃できる
・攻撃目標のヘクスに進入するだけの移動力+2MPが必要
・常に攻撃側1ヘクス、防御側1ヘクス
・複数個所からの攻撃はできないがスタックで移動して攻撃はできる
・ソ連軍の機械化部隊がオーバーランするときは攻撃力がユニットごとに半減
・小林支隊はハルハ河に架かる橋を占領するまで補給線が引けないのでオーバーランしか行えない
なんとも強力です。うまくやれば移動フェイズと攻撃フェイズで2回攻撃できるし補給がなくても攻撃できる。
デメリットはスタックごとの攻撃なので複数個所の一斉攻撃に比べると弱いということぐらいか。
ソ連軍は攻撃力半減するしうまみが少ない。


1回目リプレイ記録

ゲーム開始時


作戦としては、小林支隊はやっぱりコマツ台地に突進させる。安岡支隊は目の前の敵を撃破しつつハルハ河に架かる橋の占領を目指す。
ソ連軍としてはまず兵力を確保したいので攻撃は行わず補給ポイントを増援に使って小林支隊の突進を食い止める。

2ターン目開始時

小林支隊は予定通り前進させる。補給線が通じてないので移動は-2される。安岡支隊は正面の敵を撃破。
オーバーランと通常攻撃の併用で思いのほか順調。部隊がやられるとモラルが低下するので無駄な損害を防ぐためソ連軍は後退させる。
増援は小林支隊を食い止めるため使用する予定だが、オーバーラン攻撃が怖いので攻撃を受けないギリギリの位置で待機させる。

3ターン目開始時

小林支隊は無人の野を行くが如く快調に進撃するも敵大部隊の攻撃を受けて東側部隊が混乱退却させられる。安岡支隊は快調に進撃中。
ソ連軍は防御力の大きい増援を守備に配置しつつ、輸送ポイントを1個攻撃ポイントにあてて反撃を試みて見事撃退に成功。

3ターン目終了時

なんとコマツ台地に到達、あっさり日本軍が勝ってしまった。
7-9-7の敵歩兵部隊を小林支隊中央の部隊でまずオーバーラン攻撃。
1:1だったがDRが出て敵を退却させる。この時「防御側が退却するとき攻撃側が退却方向を決める」というルールを生かして邪魔にならないところに移動させる。
続いて小林支隊西側の部隊で増援として現れていたソ連第5機関銃狙撃兵旅団をオーバーラン攻撃。1:2と不利だったがDDが出て敵を混乱退却させる。
敵が混乱してZOCが無くなったので横をすり抜けてコマツ台地に突入成功。

運が良かったのもあるかもしれないけどまだ1回目のプレイ(序盤ルール誤認で何回かやり直したが)なのでソ連軍の動かし方がへたくそすぎたかもしれない。
なるべく犠牲を出さないようにと動かし方が消極的過ぎたしなるべくスタックするようにしていた。
多少犠牲が出ても有利になる後半まで粘れるように1ユニットずつ分散して配置すれば小林支隊の突進は防げるはず。

コマツ台地にはソ連軍の強力な砲兵陣地が有り日本軍にとっては目の上の瘤でした。
ここに突入して敵の砲兵陣地を蹂躙できたら戦局もきっと変わっていたことでしょう。


2回目リプレイ記録
このままじゃあまりにも味気無いので、今度は全力で小林支隊の突進をを阻止するような形でやってみました。

ゲーム終了時

結論から言うと小林支隊は強力だけど十分阻止できることがわかりました。
最初に増援をコマツ台地に向かう進路を妨害するようにスッタクせず2線ぐらいに並べて置く。
次いで小林支隊の背後に容易に包囲されないように増援登場ヘクスに縦に沿って並べて増援を登場させる。
こうすればコマツ台地に突進しようとしても途中で阻止されるうえに敵に包囲される恐れが出て前進させにくくなる。
しかも帰りがけの駄賃とばかりに背後の敵を攻撃しようと思っても縦に並べられると包囲もできず攻撃も中途半端となる。
ハルハ河西岸は幅が狭くなっているうえに増援登場ヘクスが長いのでソ連軍としては容易に小林支隊を包囲できます。
ソ連軍は序盤、輸送ポイントが少なくて増援に使うことが多く、攻撃補給ポイントが無くてなかなか攻撃できませんが、敵を包囲しての
オーバーラン攻撃で何とか戦果をあげられます。
しかし、容易に包囲できる反面、こちらも簡単に包囲されるので下手をするとかなりの犠牲が出ます。
今回やってみた結果、ソ連軍戦車ユニット6自動車化歩兵ユニット3が除去されてしまった。
倒したのは小林支隊3ユニット除去と1ステップロスしたのみで4ターン目に残りの6ユニットと司令部には逃げられてしまった。
ハルハ河西岸はマップが狭くて簡単に包囲したりされたりでかなりの激熱展開となったが反面、両軍共モラルが大いに低下してしまった。
その後、焦点はハルハ河東岸に移るが、こちらでも日本軍は強力なスタックを組んで挑んでくる。
スタックを組んでいるおかげで容易に包囲できるのだが死守をされるとなかなか倒せない。
だが、日本軍は増援が救援に来るまで突出したパル西高地とノロ高地の部隊が死守を連発してモラルが低下していく。
ここまでは良かったのだが、河を渡ってきた小林支隊や増援部隊が強力で包囲していた部隊が逆包囲されて撃破されていく。
結局、最終の8ターン目で両軍共モラルが0になるという激しい殴り合いとなって引き分けで終了した。
除去されたユニットは日本軍10、ソ連軍24。
ということで、1回目で日本軍が勝って気を良くしたのでちょっとソ連軍視点でプレイして書いてみた。

結論
スッタクしているとオーバーランで有利だし強力だが敵に容易に包囲されるという欠点がある
ソ連軍は強そうに見えるけど意外と補給がネックで思うように攻撃できない
オーバーラン連発できる日本軍はかなり強い気がする

注記
北方のソ連軍増援登場ヘクスを日本軍の増援登場ヘクスと最後まで誤認していた。
あんなところからソ連軍が出てくるとなるともっと違った展開になっていたと思われる大いなる誤認でした。

最後に
ネット上でハンダガヤ小唄という物悲しい曲を見つけた。
ノモンハン事件後、満ソ国境警備についていた歩兵第二十七連隊で作られた歌らしい。
張鼓峰事件では守り切ったはずの領地を停戦後に奪われるという苦い経験があったので、こんなうら淋しい国境にも
長らく警備部隊が配置されていたのだろう。
まさに油断ならないソヴィエットといった感じ。



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